STAY REPORT
        今中隊員の南極滞在記
1.しらせ乗艦編
      
    
          株式会社アイティー技研 代表取締役の今中です。
          私は2004年11月~2005年3月の約4ヵ月間、第46次南極地域観測隊として
          南極で微生物の探索業務を行いました。
          その南極滞在記を4回に分けてご紹介いたします。
        
まずは、南極滞在記その1「しらせ乗艦編」をお楽しみください。
      南極とは
- 南緯60度以南の陸域および海域
 - 人類の活動による環境への影響が最も少ない原生地域
 - 地球の陸地面積の約12分の1
 - 国境のない大陸
 
        
      南極観測船しらせは、東京の晴海港を出発。2週間かけてオーストラリアのフリーマントルの港へ向かいます。 しらせがフリーマントルの港に到着してから、私たち観測隊は成田から飛行機で出発し、シドニーへ。 さらにパースへ移動し、バスでフリーマントルへ向かいます。 そこでしらせと合流しました。
私たち観測隊は飛行機で移動できる分、 片道2週間、往復で4週間も移動時間を短縮させていただけるのです。
      
      シドニーに着岸しているときは、しらせの乗組員が船外にでかけることもあります。 右手にかかっている名札で在席がわかるようになっています。 この方たちがそれをきちんと確認されています。
      
          しらせの中の私たちの住まいです。
          二人部屋で、奥には二段ベッドがあります。
        
      
          船はけっこう揺れます。
          揺れ幅はひどいときは左右合計70度にもなり、歩くこともできません。
          朝起きたら、履物が反対側にふっとんでいることもありました。
          それでも私は意外と寝ることができたのです。
        
      南緯55度を越えると極地手当がつき、お祝いとして夕食に赤ワインとTボーンステーキが振る舞われました。 とても美味しく、豪華でした。
ちなみに、しらせに乗っているときは全員が国家公務員扱いです。普段の航行中はお酒を飲めません。 ワインは特別のお祝いです。
      
          しらせの中の理髪店です。
          理髪店はありますが、実はプロの理容師はいません。そのため、素人の乗務員同士で散髪をします。
        
      
          ちなみに私は隊員の方に上手に刈っていただきました。
        
      
          海水のお風呂です。
          真水はとても貴重品です。しらせの中で蒸留水を作っていますが、生産能力には限りがあり、自由に使うことはできません。
          お風呂上がりに少しだけ流す程度です。
        
そのため洗濯も週に1回だけです。もちろん流しっぱなしで洗ってはいけません。 しっかり脱水してすすぐなど、工夫をしていました。
      クリノメータとは、艦の傾きを記録するものです。左右に35度ずつ傾くこともありました。
          なんとこれだけ揺れても、船酔いする人はいません。
          その理由はドラマミンという酔止め薬です。入手には医師の処方箋が必要ですが、
          これが面白いほど酔いません。甲板での作業は10mほど上下しますが、むしろ楽しいな~ぐらいに感じてしまうのです。
          船釣りがお好きな方に、ぜひおすすめいたします。
          ちなみにしらせには医師が二人いらっしゃいました。
        
      
          自衛隊の皆様が歓迎会をしてくださいました。
          左から松原隊長、大平艦長、渡辺越冬隊長、副長です。
        
      
          南極手前での標準の服装スタイルです。
          防寒帽、サングラス、ウインドブレーカー、手袋は必須です。ここの温度はまだ0度前後です。
        
      
          往路でしらせ大学、復路で南極大学の学長を務めました。
          これは、南極に行ってどんな研究をするかをしらせの乗組員に理解していただき、交流を深めました。
        
      南極大学の卒業証書をいただきました。貴重な証書です。
        
          しらせの耐寒訓練が行われました。
          極寒のしらせの甲板を、強者たちがランニングを行います。
          海水の温度は1℃~2℃、指を漬けるだけで痛くなります。万一落ちたら体が動かず死に至ります。
        
      
          訓練の後は、温かい豚汁が振る舞われました。
          背後は一面、氷の世界です。
        
      しらせは世界3大砕氷艦の1つ、 2m厚程度の氷であれば問題なく航行可能です。 以前オーストラリアの船が氷で閉じ込められてしまったのを、しらせが助けたこともあります。
      
          氷の厚みが3mともなると、簡単には前に進めません。
          約200m後退して、全速力で先進し氷に乗り上げ、艦の重みで割りながら50mほど進みます。
          これをラミングと呼びます。1サイクルで約5分、これを3000回ぐらい繰り返していました。
        
      海底にカップヌードルを沈めてみました。 高圧で写真(右側)のように縮みました。海底は1000mで100気圧の圧力がかかります。
      
          マグカップも沈めてみました。
          今度はマグカップが六角柱に変形しました。
          ちなみにこのマグカップは、真空断熱タイプのものです。
        
      夏の南極は真夜中の午前0時でも日が沈まず、このように明るいままです。
      
      
          新年をしらせで迎えました。
          歩いているところは地上ではなく、海の上です。
        
      
          第46次南極観測隊の人文字で記念撮影です。
          しらせは自衛隊なので、旭日旗を掲げています。しらせはこのように大勢の人と役割で運行されています。
          ヘリコプターも2機積まれていて、パイロットや料理人など様々です。この内、観測隊員は60人ぐらいです。
           ちなみにここにいるのが私です。
        
      
      第46次南極観測隊の元日記念撮影です。
      
      
      元旦には豪華なお酒と食事が全員に振る舞われました。
      
          艦長と記念撮影。
          もちろん船が動いているときはお酒は飲めません。このときは船は停めていました。
          日本酒とワインをいただきました。
        
      続いて、南極滞在記その2
      「観測隊の業務と研究編」
      をお楽しみください!